2014 Apr 2 – レポートのウェブ版:フィルタの保持に対する2つのポンプの影響
はじめに
ダイヤフラムとベローズポンプは、大流量と圧力脈動を発生させるので、通常この脈動を低減するためにパルス脈動吸収装置を使用します。 ポンプの脈動の薄膜フィルタ保持への影響に関する前回の研究では、フィルタ保持力はポンプ脈動とパーティクルの増大で低減することを示しました。1,2この評価は、White Knightベローズポンプ(モデル#: PSA060)とパルス脈動吸収装置(モデル#: DBA060)を内蔵した新しい閉ループ圧力制御システムの有効性を最小限の流量と圧力脈動で判定するために実施され、その結果ポンプの下流でフィルタ保持が改善されました。
本評価の目的は、2台のポンプからの圧力と流量脈動の大きさを定量化し、これら2種類のポンプの薄膜フィルタの保持効率に対する影響を比較することでした。
実験手順
評価したポンプは、Levitronix BPS-4遠心ポンプ及びWhite Knightベローズポンプ(モデル番号:PSA060)とパルス脈動吸収装置(モデル番号:DBA060)です。
脈動強度:
圧力と流量脈動の大きさを定量化するために、高速応答圧力及び流量トランスデューサを評価中ポンプの下流に取り付けました。 Entegris 社のModel 4100単一ポート圧力トランスデューサ(0-60 psig)は、圧力脈動の大きさを定量化するために使用しました。 Futurestar FM 3103-PS-XP/F (0-50 lpm) 流量計は、流量脈動の大きさを定量化するために使用しました。 圧力と流量測定値は1000 Hzで収集されました。 データは各試験条件で1分間隔で収集及び解析されます。
フィルタ保持効率測定:
試験システムの図面を図1に示します。低パーティクル(andlt;1.0/ml ≥ 0.05 μm)の純水を評価するポンプに連続供給するために循環ポンプ1台使用しました。
2台の光学パーティクルカウンター、パーティクル測定システムHSLIS M50パーティクルモニタとパーティクル測定システムLiQuilaz S05液体パーティクルカウンターを評価に使用しました。 M50は、4つのサイズのチャネルを提供し、0.05 µm以上、0.10 µm以上、0.15 µm以上、及び0.20 µm以上の範囲のパーティクルを測定します。 LiQuilaz S05は、 0.5 µm以上から 20 µm以上までの範囲の15サイズのチャネルを提供しています。
フィルタ保持効率測定は、単分散ポリスチレンラテックス球体(PSL)を評価中ポンプの上流の流れに注入して実施しました。 PSLチャレンジソリューションは、73 nmから400 nmまでのパーティクルサイズで構成されています。 パーティクル保持測定は、5-10 gpmの流量範囲で実施しました。 パーティクル濃度は、注入毎にテストフィルタの上流と下流でモニタしました。 この他に、パーティクル濃度がパーティクル低減策を実施するために十分に低いことを確認するために、各パーティクル注入テストの前後に上流と下流バックグランド測定を実施しました。 このフィルタ保持効率の評価時、2本の10インチ、0.05 µm Mykrolis Quickchange ATMフィルタを並列に配置しました。 試験流量によって異なりますが、0.5 から 1.0 cm/分の範囲のフィルタ面速度。 フィルタ保持効率を、各パーティクル・チャレンジ・サイズで計算しました。
図1. テストシステム図
このレポートでは、フィルタ保持データはフィルタログ低減値(LRV)として表現されます。 LRVは次のように定義します:
- LRV = log10 ((CI – CBI)/ (CO – CBO))
上記の式の各項は以下を示します:
- C1 = パーティクル注入時のフィルタ入口でのパーティクル濃度
- CBI = パーティクル注入後のフィルタ入口でのバックグランドパーティクル濃度
- CO = パーティクル注入時のフィルタ出口でのパーティクル濃度
- CBO = パーティクル注入前のフィルタ入口でのバックグランドパーティクル濃度
LRVとフィルタ保持効率の関係を表 I に示します。
表I. フィルタ保持効率とLRVの関係
LRV | Filter Retention Efficiency (%) |
---|---|
1 | 90 |
2 | 99 |
3 | 99.9 |
4 | 99.99 |
結果と議論
脈動強度:
図2.4は、約5、7.5、及び10 gpmでの各ポンプタイプの圧力及び流量脈動の大きさを各々示しています。 圧力と流量データの分析を表IIに示します。 相対標準偏差(RSDs)は、各テスト条件下で各ポンプの1分間のテストインターバルで計算されました。
White Knight及びLevitronixポンプからの流量脈動は、両方とも比較的低いだけでなく流量に関係なくほとんど同じです。 流量脈動の大きさは、流量が増大するにつれて低減しました。
測定された圧力脈動は、ポンプや流量に関係なく、測定された流量脈動よりも10倍以上高くなりました。 これは、圧力トランスデューサほど応答時間が速くない流量計の積分時間に影響を受けた可能性があります。 各ポンプシステムごとに測定した圧力脈動の大きさは5 gpmと同じでした。 しかし、図5に示すように、流量が増加するにつれて、圧力脈動がWhite Knightポンプで増加する一方で、Levitronixポンプでは低減しました。
表II. 圧力と流量データの相対標準偏差
Flow Rate | RSD of Pressure Measurements (%) | |
---|---|---|
White Knight | Levitronix | |
5 gpm | 4.3 | 3.8 |
7.5 gpm | 4.7 | 3.3 |
10 gpm | 6.0 | 2.7 |
Flow Rate | RSD of Flow Measurements (%) | |
White Knight | Levitronix | |
5 gpm | 0.5 | 0.4 |
7.5 gpm | 0.3 | 0.3 |
10 gpm | 0.2 | 0.2 |
図2. 5 gpmでの各ポンプの圧力と流量脈動の大きさ
図3. 7.5 gpmでの各ポンプの圧力と流量脈動の大きさ
図4. 10 gpmでの各ポンプの圧力と流量脈動の大きさ
図5. 流量の関数としての圧力測定値の相対的標準偏差
フィルタ保持効率測定:
表IIIと図6に、各ポンプのフィルタ保持率測定の結果をパーティクルサイズと流量の関数として示します。 図7は、本研究で定量化された圧力測定値のRSDの関数としての、各ポンプのフィルタ保持測定値を示しています。 本テストで使用した最大検出可能LRVは4で、フィルタ保持率は99.99%でした。 0.05 µmのQuickchange ATMカートリッジによる73 nmから400 nmまでのPSLパーティクルの保持は、5 – 10 gpmの範囲の流量で両方のポンプにおいて4 LRVを超えることがわかりました。 フィルタ保持での測定値の差はこれらのポンプでは観察されませんでした。 73 nmのPSLサイズは、測定システムKSLIS M50パーティクルモニタが効率的に検出できる最小検出可能PSLサイズです。
表III. PSLパーティクルサイズ毎の各ポンプのフィルタ保持率
Particle Size (nm) | RSD of Pressure Measurements (%) | |
---|---|---|
White Knight | Levitronix | |
5 gpm | ||
73 | > 4 | > 4 |
97 | > 4 | > 4 |
200 | > 4 | > 4 |
400 | > 4 | > 4 |
10 gpm | ||
73 | > 4 | > 4 |
97 | > 4 | > 4 |
200 | > 4 | > 4 |
400 | > 4 | > 4 |
図6. パーティクルサイズの関数としての保持効率(LRV)
図7. 複数流量における圧力脈動の関数として保持効率(LRV)
要旨
閉ループ制御システムを内蔵する1台のWhite Knightポンプと1台のLevitronix BPS-4ポンプシステムからの圧力と流量脈動の大きさの特性を明らかにしました。
White Knight及びLevitronixポンプからの流量脈動は、両方とも比較的低いだけでなく試験稼働条件に関係なくほとんど同じです。 測定された圧力脈動は、テスト中のポンプに関係なく、測定された流量脈動よりも10倍以上高くなりました。 各ポンプシステムごとに測定した圧力脈動の大きさは5 gpmと同じでした。 流量が増加すると、White Knightポンプでは圧力脈動は増加しますが、Levitronixポンプでは減少しました。
0.05 µmのQuickchange ATMカートリッジによる73 nmから400 nmまでのPSLパーティクルの保持は、5 – 10 gpmの範囲の流量で両方のポンプにおいて4 LRVを超えることがわかりました。 フィルタ保持での測定値の差はこれらのポンプでは観察されません。
参考資料
1. Litchy MR, DC Grant and R Schoeb (2005), “Effect of pump pulsation on membrane filter retention,” SCP Global Technologies’ 9th International Symposium on Wafer Cleaning and Surface Preparation.
2. Litchy MR, DC Grant, and R Schoeb (2006). “Effect of Pump Pulsation and Particle Loading on Membrane Filter Retention,” Proceedings of the 25th Annual Semiconductor Pure Water and Chemicals Conference, Sunnyvale, CA., pp 105-125, Feb 15, 2006.